危険物の事故防止
最終更新日:2023年9月5日
危険物とは?
広い意味でいう危険物には、高圧ガス、火薬類、毒物、劇物、放射性物質など様々なものがありますが、消防法上の「危険物」とは、取扱い方法を誤ると火災を引き起こす危険性が非常に高く、もし火災になった場合は急激な延焼や爆発を起こしやすい物品で消防法で指定されているものをいいます。
身近な危険物
危険物は「化学物質」、「激しく燃える」というような印象から特殊な用途だけに利用されていると思われがちですが、実際には皆さんの身の回りにも危険物を利用した製品がたくさんあります。
ガソリン、灯油、軽油などの燃料類をはじめ、マニキュア、除光液、接着剤、ペンキ、ヘアースプレーなど「危険物」を利用した製品は、私たちの生活の中でなくてはならない身近なものになっています。
(注意) 製品の容器に次のようなことが表示されていれば危険物です。
危険物第4類 第1石油類 危険等級II 火気厳禁
危険物第2類 引火性固体 危険等級III 火気厳禁
危険物による事故防止
私たちの生活になくてはならない「危険物」ですが、その取扱いや保管方法によっては、危険性を増幅させ、思わぬ災害に発展することになります。
家庭における事故事例とその対策について紹介しますので、保管方法や取扱い方法を再確認して危険物による事故を防ぎましょう。
家庭における事故事例
事例1
石油ストーブに誤ってガソリンを補給したため、石油ストーブが異常燃焼し火災となった。
〈対策〉
(1) 給油する前に燃料の色を確認する。
灯油は無色透明で、ガソリンはオレンジ色に着色されています。
(2) 家庭の中で他の燃料とガソリンの保管場所を変える。
(3) ガソリンは金属容器で保管する。
ガソリンをポリエチレン製の容器には入れないでください。
事例2
石油ストーブの火を消さずに燃料タンクに灯油を補給したところ、誤って灯油がこぼれ石油ストーブの火に引火し火災になった。
〈対策〉
石油ストーブに燃料を補給する時は、必ず火を消し、周囲の火気使用についても十分確認しましょう。
事例3
バーベキューコンロの炭火にゲル状の着火剤を注ぎ足ししたところ、着火剤の一部が火の着いた状態で飛散、コンロの前方にいた子供がやけどした。
〈対策〉
ゲル状の着火剤を使用するときは使用方法をよく確認し、燃えているものへの注ぎ足しは絶対にしないようにしましょう。
事例4
マニキュア除光液で爪の手入れをしていた途中で、たばこを吸おうとライターで火を着けたところ、除光液の可燃性蒸気に引火しやけどした。
〈対策〉
室内で除光液を使用する場合は換気を十分に行なうとともに、周囲の火気に十分注意しましょう。
事例5
台所でガステーブルを使用中に、使い終わったスプレー缶を捨てるために穴を開けたところ、缶内に残っていたガスが噴出し、ガステーブルの火が引火し火災となった。
〈対策〉
スプレー缶は中身を完全に使い切ってから捨てましょう。また、缶に穴を開けるときは周囲の火気に十分注意し、必ず風通しのよいところで行ないましょう。
事例6
塗料の染み込んだウエスをゴミ袋に入れて廃棄したところ、塗料の酸化熱により自然発火し、同袋内のごみに着火して火災となった。
〈対策〉
塗料缶の外面には下記の内容の注意事項が記載されているものがあります。使用に際しては注意事項に従って処理を行ってください。
(自然発火に注意)
塗料が染み込んだ布やウエスは自然発火の恐れがあります。使用したウエスは、水の入った容器に入れて処理してください。
ガソリンスタンドにおける事故事例
事例1
ガソリンスタンドでガソリンをポリ容器(容積18リットル)に詰めてもらい、ワゴン車の荷台に置いて走行中、運転手が煙草にライターで火をつけたところ、容器の口から漏れたガソリンの可燃性蒸気にライターの火が引火して火災になった。
〈対策〉
18リットルのポリ容器はガソリンの運搬に使用できません。危険物はその危険性に応じて使用できる容器の材質と容量がさだめられています。不適切な容器で運搬すると、この事例の他にも思わぬ事故を引き起こす可能性がありますので、ガソリンの運搬には適正な容器を使用しましょう。
水が蒸発するように、液体の危険物も蒸発します。ガソリンのように揮発性の高い危険物は蒸発するスピードが速く、短時間のうちに大量の蒸気を放出していることがありますので、危険物を貯蔵又は取り扱う場所では危険物の蒸気の存在を念頭に置き、火気の厳禁、換気の実施などを徹底しましょう。
事例2
セルフスタンドで、来店客がガソリンを入れるはずの軽自動車に軽油を入れてしまった。
〈対策〉
セルフスタンドのノズルカバーやノズル受けには、誤給油を防ぐためハイオクガソリンは黄、レギュラーガソリンは赤、軽油は緑、灯油は青に色分けされています。これらを確認して、誤給油をしないように気をつけましょう。
事例3
セルフスタンドで、来店客が静電気除去シートに触れずに、給油していたところ、人体に帯電していた静電気が給油口付近の金属部に放電し、発生した静電気火花が給油口から漏れている可燃性蒸気に引火した。
〈対策〉
セルフスタンドで給油する際の静電気対策は下記のとおりですのでご確認ください。
(1) クルマから降りてドアを閉める際、車体の金属部分に触れる。
(2) 静電気除去シートにしっかり触れる。
(3) 給油口カバーの金属部分に触れて、給油キャップを開ける。
(4) 給油ノズルを握り給油口の奥に差し込む。
ノズルホースには静電気を逃がす仕組みが施されています。ノズルからホースへアース線が通って
おり、体にたまった静電気を給油設備から地面へと流す機能を備えています。
ガソリンの購入について
・ガソリン携行缶の取り扱いについては「ガソリン携行缶の取り扱いにご注意ください」をご確認ください。
・セルフスタンドでの給油については「セルフスタンドで安全な給油をするために」をご確認ください。
・ガソリンの詰め替え・運搬については「ガソリンの『詰め替え』と『運搬』」をご確認ください。
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