更新日:2022年12月7日
人形浄瑠璃は江戸時代、庶民に親しまれていた娯楽の一つでした。室町時代、淡路島に伝わった操り人形が後に人形浄瑠璃として発展し、郷土芸能として親しまれるようになります。徳島では、初代藩主蜂須賀至鎮の時代に淡路が徳島藩へ編入されたのを期に伝わり、阿波人形浄瑠璃として飛躍的に発展していきました。
城下町の広がる現在の徳島市中心部や吉野川流域では仮設の小屋掛け舞台が多く、郊外では常設の野舞台(農村舞台)を建て、人形芝居を楽しんでいました。徳島県内では200軒を超える舞台が建てられ、県南に特に多く見られます。現在では公演を行っている農村舞台は限られており、多くは神社の境内に痕跡を残すのみです。
八多町に位置する犬飼の舞台は明治初期に五王神社境内に建てられ、地元の盛んな活動により現在も公演がおこなわれています。舞台が当初の姿で良好に残り、他に類例を見ない舟底楽屋の構造を持つことなどから、平成10年に国の重要有形民俗文化財に指定されました。
犬飼農村舞台
『傾城阿波の鳴門』の一場面
人形浄瑠璃では舞台背景に多くの襖絵を使用します。人形芝居が盛んだった徳島では、その技術や手法が発展し、襖からくりが巧妙なものになっていきました。そのため、次第に襖からくりだけを見世物として見せるようになりました。
引き分け、行き違い、チドリ、田楽返し、上昇などの巧妙な技術を駆使して襖を操作することで、景色や動物・花・模様の42景を演出していきます。この襖絵は明治時代に泥絵の具を用いて、京都や地元の絵師によって描かれました。
このような大がかりな襖からくりが上演される農村舞台が県内でも数少なくなっていることから、襖からくりの技術が平成10年に徳島市無形民俗文化財に指定されています。
襖からくり
中からみた様子
毎年、11月3日に開催される公演では、懐かしい農村の原風景や人形浄瑠璃の熱演、襖からくりの妙技をぜひお楽しみください。
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